
小島弘昭とは
island hopper, weevil systematist, asia-pacific region, comparative biology & cultural anthropology

東京農業大学農学部昆虫学研究室で教員をしております.
大学では「昆虫学」をはじめとする講義を担当し,ゾウムシという甲虫の仲間の超多様性解明に向けた研究に取り組んでいます!
私が所属している昆虫学研究室(通称:昆研)は,70名弱の学生が所属する,学生数で見ると世界最大規模の昆虫学の研究室です!!これまでに収集した昆虫標本も国内私大では最大規模です!!!
さまざまな昆虫分類群の多様性解明に向けた研究に取り組んでいる,私大では珍しい基礎昆虫学の研究室です.フィールドワークを大切にしていて,昆虫の分布に国境はありませんので,必要があればどこにでも出かけます.
昆研に興味がある小学生から高校生,大学生の方は,大学窓口(入学センター)にお問い合わせください.
大学の教員・研究情報:
nodai entomological laboratory (nel)
昆虫は人類を救う!
キーワード:昆虫多様性,昆虫分類,昆虫生態,昆虫系統地理,昆虫資源利用
生物多様性の象徴でもある昆虫類は一大生物資源でもある.害虫のみならず,益虫やただの虫(中立昆虫)に至る幅広い昆虫群を対象に,分類・同定,形態,生態に関する研究を行い,有用昆虫資源ならびに昆虫が持つ多様な機能を探求し,その持続的利用に資する.また,環境と昆虫との相互関係を明らかにすることによって,環境保全についても追求する研究室です.
昆虫学研究室HP:
https://www.nodai.ac.jp/agri/original/konken/shigen/toppage.html
研究室発行の不定期学術刊行物「Nodai Entomology」:
https://www.nodai.ac.jp/agri/original/konken/shigen/publication/publication.html
profile of hiroaki kojima
<研究テーマ>
・ ゾウムシ類を中心とした植食性甲虫の総合的研究(Integrated Studies of the Phytophagous Beetles, Especially Weevils)
分類,形態,生態,系統進化から潜在害虫,益虫の探索,害虫防除まで
・ 応用昆虫体系学(Applied Insect Systematics)
害虫防除、益虫利用に体系学の成果を応用!
・ 林冠昆虫学(Canopy Entomology)
林冠は深海とともに地球上最後の未開拓地!新発見、新種発見の連続!!
・ 土壌昆虫学(Soil Entomology)
・ 植物−昆虫関係学(Plant-Insect Interactions)
・ 農業生態系の昆虫多様性に関する研究(Insect Diversity in Agro-Ecosystems)
・島嶼部の昆虫相に関する研究(Insect Fauna of the Islands)
<自己紹介>
学部時代にゾウムシ(甲虫目:ゾウムシ上科)を研究材料として選んで以来,これまで一貫してこの類の分類をベースとした総合的自然史研究に取り組んできた.ゾウムシ上科は,生物界最大の分類単位であるゾウムシ科を含み,現在知られているだけでも6万種,推定種数は少なく見積もっても36万種以上と言われている超巨大分類群である.また,植食性であることから,農林業上重要な害虫から,雑草の生物的防除,花粉媒介に用いられる益虫にいたるまで,経済的,応用的に重要な種が多く含まれる.膨大な種数を含むゾウムシ類について,イギリス,ドイツ,カナダ,アメリカ,南米,オーストラリア,アフリカなど世界各地の研究者と連携し,世界のゾウムシ相を解明しようという,21世紀の多様性生物学,あるいは分類学最大のチャレンジテーマに取り組んでいる.私の担当は,おもにアジア-太平洋地域であるが,高次レベルでの関係を調べる際などは,世界的視野に立った材料の検討も行っている.また,ゾウムシ類は,植物と密接に関係しながら進化してきたグループで,ゾウムシ-植物の相互関係にも深い関心を持ちつつ研究を進めている.
これまで,日本国内はもとより,東南アジアを含む東アジア各地に出かけ調査を行い,有用植物の送粉者などを含む多くの新種や新属を発見記載し,擬態やカムフラージュに関する新たな知見を見出すなど,この地域のファウナの解明に貢献してきた.また,ゾウムシ類の進化を考える上で重要な特徴が含まれる頭部形態の詳細な観察からこの類の系統仮説と高次分類体系について,これまでの常識を覆す仮説を森本桂博士と提唱するなど,詳細な比較形態学的研究に基づく,系統仮説や新たな高次分類体系の提唱といった分類体系の整備につながるインパクトのある仕事を行うよう心掛けてきた.今後は,さらなる視点からの比較形態学的研究や分子データを利用したゾウムシ上科の体系学的研究,体系学の成果を害虫防除などへ応用する応用昆虫体系学にも取り組んでいく.
アジア地域の材料を主に研究していることと,膨大な種数を含む分類群を扱っていることから,日華系生物群の起源と進化,林冠昆虫相の多様性,島嶼部の昆虫相にも興味を持っており,林冠研究については,最新の調査法であるフォギング法をはじめ,各種トラップを用いた調査研究に取り組んでいる.日華系生物群についても,ツツジ科やツバキ科植物を寄主とするハモグリゾウムシ類の分類と生態,日華系の延長と思われる北半球温帯の隔離分布,熱帯を挟んだ北半球と南半球の温帯の隔離分布などを示す分類群の分類,系統,生物地理について,寄主植物の利用様式などと絡めた研究にも取り組んでいる.
また,水田を中心としたアジアの農山村における昆虫類の多様性に関する調査研究や伊豆諸島,南西諸島をはじめとする国内島嶼部の昆虫相に関する調査研究も行っている.
<進行中のプロジェクト>
- アジア-太平洋地域のゾウムシ上科甲虫の分類学的,系統進化学的研究
- ハナゾウムシ類('flower weevils')の分類,系統,生物地理
- 日本産ゾウムシデータベース(JWINとの共同プロジェクト)
- 原始的な植物の訪花性甲虫相の多様性解明と寄主利用の進化,有用送粉者の探索
- 昆虫相から見た農地,里山の環境評価
- 急速な農耕地拡大で絶滅が危惧される熱帯アジアの天敵・中立昆虫相の解明
- 国内島嶼部における昆虫類の種および遺伝的多様性の解明とホットスポットの推定
- マルチバイオリソースとして有望な水生・半水性ゾウムシ類の多様性解明
- シュロゾウモドキ族 Metrioxenini(アケボノゾウムシ科)の分類と生態
- 旧世界のクモゾウムシ亜科の分類と日本産種のモノグラフ
- 土壌性アナアキゾウムシ亜科の分類(おもに日本産)
- ミクロネシア,ポリネシアのゾウムシ
- キクイムシはゾウムシか(科)?
- 食材性ゾウムシ類の分類と生態
- 日本産ゾウムシ大図鑑
konken iki house (kih)
昆研壱岐ハウス(仮称;kih)開拓中! 実りの島,神様の住む島として知られる長崎県壱岐島.この地に昆研の調査研究拠点を作りつつあります.研究室所属の教員と学生が中心となって,虫目線で農地とその周辺の植生管理を行うとともに,農業を営みつつ,植物,昆虫,動物の多様性の実態解明と保全,それら生物資源の持続的利活用を通じて,その成果を島民に還元し,地域振興に貢献していきます.
kihでは,植生管理,農作業に携わる学生,教員が自炊生活をしながら滞在できる建物とキャンプサイトがあり,現在,農作業機材や昆虫調査機材が設備としてあります.また,敷地内にはかつて薪炭林として利用されていた樹高30mに達するスダジイ(一部、植樹されたヒノキ)を中心とした研究林があり,各種昆虫捕獲トラップの設置が可能です.
昆研では,壱岐島以外にも種子島に研究林設置を計画しています.
私大ならではのマンパワーを活用し,島から日本を元気にするプロジェクトを展開していく予定です.
今後の活動にどうぞご期待ください!




konken tanegashima field (ktf)-new!!!
昆研種子島フィールド(仮称;ktf)開拓中! 長崎県壱岐島に続き,鹿児島県種子島に昆研の調査研究林を設置する計画が,地元の方々のご理解とご協力を得て進行中です.現在のところ中種子町(二次林と植林)と南種子町(海岸林)の2ヶ所を候補地として考えています.各種昆虫捕獲トラップの設置のみならず,フォギングなどの林冠昆虫調査が可能となるよう交渉中です.
今後も私大ならではのマンパワーを活用し,島から日本を元気にするプロジェクトを展開していく予定です.